コンサートの夜その2
ツールドフランスもいよいよ大詰めだけど、今年は録画はしている
もののほとんど見ていない。やっぱり出るべき人が出てないような
感じがしてしまう。もちろんバッソ、ウルリッヒ、ヴィノクロフ
といった人以外にも素晴らしい世界最高級の能力を持った選手達が
いて、そんな彼らが競い合っているわけだけど、やっぱり名前の通
ったスタアが出てないと「興行」としての魅力にはかける。
昨日、5年振りにモー娘などがいるハロープロジェクトのコンサート
を見てきた。ヤフオクで安く買って大阪城ホールへ。
大阪城公園駅をおりるなり、彼女が「くさい、パソコン屋のにおいが
する。」と言い出した。そう言われてみればかすかに感じなくもない
けど、興奮しているせいかあまりわからなかった。
大阪城ホール前の噴水には、たくさんの「モーヲタ」達が集結してた。
特攻服にお気に入りのメンバーの名前を刺繍した人、全身バッチまみれ
になっている人、ハロプロのフットサルチームのジャージ、みんな自分
がハロプロファンであることを示している。
私も前日にパソコンで秋田県のSUZUKA容疑者のシルエットを使って
そこに「娘命!」っていう文字を入れたTシャツの原案を考えてはみた
けど、さすがに36歳になってそれを着て街を歩くことはできない(^^;)
(モー娘のコンサートに行くのも同じようなものだけど)
前日、ネットでコンサートでの曲リストを調べて、Youtubeで集めてきた
動画集で必死で予習した、5年前はだいぶ知っていたのだけど、今回
は9割くらいの曲がわからない。モー娘はともかく、Berryz工房とかC-UTE
なんてまったく知らない。
ノートパソコンの液晶画面をこちらに向けてうつむきがちに歩いてくる
男の子がいた。画面を見てみると「オールメンバーポスターフルコンプ
達成(^^)/」という文字が流れている。すべてのメンバーのポスターを
全部集めたんだよ、オレ、すごいでしょ?っていう意味なのだろう。
しかしこの空間には、今の世間でネガティブ、あるいはモテないとされ
るすべての要素を持った人が集まってきているように思える。デブ、
若ハゲ、チビ、ガリガリ、体臭、不潔、チェックのシャツをin、ズボン
はへそが隠れるまで引き上げる、甲高い声、ブサイク..
そしてそんな人達が上気した顔で、開けてみるまで誰のカードかは
お・た・の・し・みの余ったカードをトレーディングしたり、踊りの
練習をしたり、久しぶりに出会った離れた地域の仲間と2ちゃんねる
言葉で語り合ったりしている。
アイドルって、こういう人達の声援を受け、握手され、そして彼らの
お金を集めて生活していっているんだなあってしみじみ感じた。キツイ
言い方にはなるけど、現世では楽しいことなんてほとんど何もないで
あろう彼らが唯一大声を出したり、解放できる場所、別にその対象は
モー娘である必要はなく、虐げられている彼らしか集まってこないよう
な場所であればどこでもいいのだろうと思う。違うアイドルでもいいし
アニメでもいいし、鉄道でもいいのだろうと思う。
行きの環状線の京橋駅では、「KONNO ASAMI」というピンクのTシャツを
着た男性がちょっと不良っぽい高校生にからかわれていたし、帰りの
電車でも一斉に乗り込んできたヲタク達を見て「EGOIST」の紙袋を持っ
たGAL風の女の子がこれ以上ないようなさげすんだ目で彼らを見ていた。
コンサートは知っている曲があまり無かったけど、なかなか楽しむこと
ができた。濃いヲタクの人達はポスターだけでなく、振り付けもコンプ
していて、最初から終わりまでキレの無い動きで踊り続けていた。
「L・O・V・E ラブリー○○!」とコールを出し、曲の合間には彼女た
ちの愛称を大声で叫んでいた。その叫びが彼女たちに届くことは決して
ないのだけど、でもそうやって大声で叫ぶ、自分を解放できているって
ことがとても大切なことなのだろうと思う。
総勢20数人くらいの若い女の子が舞台で踊ったり歌ったりしていて、皆
かわいらしいのだけど、それでもその中で自然に光り輝いている子って
いうのがいる。そういうのってその人が持つ力なのだろうと思う。客席
からは小さくしか見えないのだけど、でもついその子の方を見てしまう、
そんな力を持っている。
コンサートが終わって千林駅からアパートまで歩いて帰りながら、今日
の感想を話した。「最初は気持ち悪かったし、なによりくさかった
(^^;)けど、でも一心不乱に踊り続ける彼らを見てたら幸せそうだな
と思った。」と彼女は言っていた、私もそう思う。
「でも、こういう言い方って懐古厨みたいだけど、5年前のコンサート
の熱気って今日のそれの5倍とか10倍とかあったんだよ。今は娘自体
がもう売れてなくて、芸能のメインストリームじゃないわけだけど
絶頂期的に売れていたからこそ、彼らにとって「僕たちだけの場所」で
あると同時に、その時、日本で一番売れている人達であったわけだ
から、その場所にいる自分が誇らしくもあっただろうし、この先いったい
どこまで売れ続けるのかわからない、いったい彼女たちはどこまでいく
んだろう、それを俺たちが見届けてみよう、そんな思いをエネルギーに
して進んでいくロケットみたいなもんだからね、アイドルって、彼らに
してもこの先、娘達が昔のように売れたりすることはないってことを
わかっている、だからすごく熱狂しているようだったけど、どこかで
さめていたように思うよ。舞台の上のメンバー達もほとんどはそんな
に売れなくなってから入ってきた人達だから、かわいいしスタイルも
いいんだけど、あらゆる人から賞賛だけを聞かせ続けられることに
よってうまれるスタアの雰囲気ってものを持っている人は少なかった
よね。アイドルっていうニッチな商品がミリオンセラーといった国民的
な人気を得るなんてことはこれからもそうないだろうけど、彼らは早く
そんな存在があらわれることを願っているんだろうなって思うよ。」
そんなことを偉そうに語りながら、両腕でサイリュームの輪っかが光り
続けているのに気がついて少し恥ずかしくなったが、楽しいデートだった。
次はカマタニさんオススメの映画、「メタル ヘッドバンガーズ・ジャーニー」
かな。


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